新宿の酒場、勝浦修の隣で呑んでいたのは「朝まで生テレビ」の論客だった(棋士日常⑧)

「好きな棋士は中原さんと加藤さん。二人とも、この人を好きにならないと、義にもとる。そんな感じだね」

―――西部 邁(評論家)

「棋士交遊アルバム」(「将棋世界」1993年3月号)より
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 「呑めない」という棋士もいるし、「呑まない」と決めた棋士もいるだろう。
 けれども大半の棋士は呑むのを楽しみにしているようで、そこで思わぬ出会いがあったりもする。

 勝浦修が新宿の酒場で呑んでいたら、なんと隣にいたのが、討論番組「朝まで生テレビ」によく出ている人だった。
 保守の論客・西部邁(にしべすすむ)である。

 実は勝浦と西部は同じ北海道の出身。
 「朝まで生テレビ」は勝浦がよく見ていた番組。
 それで、恐る恐る西部にサインを所望した。
 すると、

 「何をおっしゃる、私こそ」

 西部はそう言って逆に勝浦のサインをねだったそうだ。
 実は将棋ファンで、テレビ将棋は欠かさず観るという熱心家。勝浦の解説が好きなのだとか。

 酒場ではこんな思いがけぬ出会いもあるのである。

 西部曰く、

 「言葉の世界は多少デタラメでもいいんです。あとで言い逃れがきくからね。その点、将棋ははっきりしていていいね」

 おやおや、論壇のお方がこんなこと言っちゃっていいのかしら。
 しかしながら、好きな棋士はと尋ねると、

 「好きな棋士は中原(誠)さんと加藤(一二三)さん。二人とも、この人を好きにならないと、義にもとる。そんな感じだね」

 「この人を好きにならないと、義にもとる」ですか。
 さすが、いかにも西部邁らしい。

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