ミサイル防衛:SM-6による2度目の準中距離弾道ミサイル迎撃実験

2度目の準中距離弾道ミサイル迎撃実験

SM-6」による準中距離弾道ミサイル(MRBM)迎撃実験が行われました。

 Aegis BMD System Intercepts Target Missile(2017/8/29 ミサイル防衛局)

実験「FTM-27イベント2」では、ハワイのカウアイ島ミサイル実験場から発射された準中距離弾道ミサイル(MRBM)をイージス駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」が自身のSPY-1レーダーで探知、追跡し、搭載したSM-6を発射して標的の迎撃に成功しました。

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SM-6によるMRBM迎撃実験は、2016年12月の「FTM-27」(迎撃成功)以来2度目となります。

「ジョン・ポール・ジョーンズ」は最近話題のイージス・ベースライン9C1をインストールした駆逐艦です。日本にはベースライン9搭載艦である「チャンセラーズ・ビル」、「ベンフォールド」、「バリー」が配備されており、「ミリアス」も来年には派遣される模様です。ベースライン9はIAMD(統合防空ミサイル防衛)能力を付与するソフトウェアで、弾道ミサイル迎撃を担うだけでなく、巡航ミサイル迎撃を主任務とする「NIFC-CA(ニフカ)」とっても不可欠です。

ニフカとSM-6

ニフカとは聴き慣れない単語かもしれませんが、すでに6発の巡航ミサイル標的を同時に迎撃する実験などを開始しています(過去記事)。ニフカがもたらすものは、エンゲージ・オン・リモート(EOR)ならびに超水平線(OTH)攻撃能力です。E-2D(F-35CやUCLASSなどの艦載機群も)とのリンクにより、イージス艦は自身のSPY-1Dよりも高く遠い位置にセンサーを持つことになるため、レーダー見通し線外の目標に対処できるようになります。このニフカで用いられる迎撃ミサイルがSM-6です。
ニフカ01
ニフカ02
SM-6はAIM-120 AMRAAMのアクティブ・シーカーを搭載しているため(セミアクティブ・モードもありますが)、目標付近で自立して命中する機能を持っています。現行のSM-2は発射母艦のイルミネーターによるレーダー照射が必要ですが、SM-6はいわゆる「撃ちっぱなし」が可能になります。SM-2よりも長射程であるだけでなく、延伸した射程をニフカによって存分に発揮出るわけですね。OTH攻撃にはまさに御あつらえ向きの兵器だと言えるでしょう。

現在、中国は第1・第2列島線の内側で米軍の活動を制限することを目指しています。この「A2AD(接近阻止・領域拒否)とよばれる戦略を実現する兵器としてDF-21D対艦弾道ミサイルのような謎兵器もありますが、本命はやはり超音速巡航ミサイルではないでしょうか。かつてのソ連も、米空母艦隊への対抗策として採用したのは巡航ミサイルによる飽和攻撃でした。実際、すでに数度の実験を繰り返している極超音速滑空ミサイル「DF-ZF」や超音速巡航ミサイル「CX-1」などの開発状況は、中国がどのような兵器を2020年代のA2AD環境下で使用するつもりなのかを示唆するものです。

我が国への導入が決まったイージス・アショアへ搭載するとなると、北朝鮮よりも嫌がる国がありそうですね(運用のアレコレはさておいた話なのですが)。ちなみに、今回の実験の標的となったMRBMといえば、北朝鮮の「ノドン」や「北極星2号」といった対日本攻撃用ミサイルと同じクラスの射程です。

本日発表された平成30年度の防衛省概算要求によると、艦載用SM-6の取得が盛り込まれましたね。SM-6、SM-3ブロック2A、SM-3ブロック1BとBMDに予算がつくのは良いことです(はい、個人的な好みの話です)。

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